先日、「ノートルダム・ド・パリ」初役となるダンサー(カジモド役:元吉 優哉、3/15フロロ役:水井 駿介)2名が登場しトークイベントを開催しました。
舞踊評論家で東洋大学社会学部メディアコミュニケーション学科教授の海野 敏先生にモデレーターをお願いした本イベント。
海野先生のテンポ良い運びのもと、普段はあまり聞くことのできないような色んな話が飛び出しました。
「当日行けなかった!」という方のために、トークイベントのポイントをまとめてみましたよ。
1.「ノートルダム・ド・パリ」それぞれの登場人物と役作りについて
ローラン・プティの「ノートルダム・ド・パリ」はエスメラルダというミューズをめぐる男性3人の物語になっています。
つまりこの男性3人、それぞれの個性際立つキャラクター(美・醜・悪)を理解するとより作品が理解しやすくなります。
カジモドは本当に心が美しく誠実だけれども、生まれつき背中にこぶがあり醜い姿をしている(醜)
フロロは聖職者にも関わらずエスメラルダに欲望を抱き、力づくで彼女を我が物にしようとする権力の象徴(悪)
フェビュスは美男(だけ?)(美)
それぞれ初役の両名に、役作りの困難な点やそれをどう克服していくのか?質問がありました。
フロロの元で孤独に暮らしていたカジモド。
エスメラルダと出会い、初めて人の温かさを知ることで母親に対する愛情にも似た恋心を頂く(ちなみにカジモドは孤児)。
一方フロロは、エスメラルダに対する欲望に苛まれる聖職者ということで、存在と自我が矛盾したキャラクター。
元吉、水井両名とも「それぞれの役柄の設定を、まずはよく理解した上で役作りを始めている」ということのようでした。
複雑なキャラクターだけに大変そうです。
2.ローラン・プティの振付、踊るダンサーにとっては?
振付に乗せて感情を強く表現することが求められるプティの作品。
当然チャレンジングであり肉体的にもキツイ、もちろん充実感があり、一方でいくら追及しても完璧がまだ先にある、そんな感覚を持つようです。
さらに、打楽器が多用された音楽にも特徴がある本作品。
音楽と踊りがぴたりと合った時のカッコよさがこの作品の特徴であり、そもそも振付と音楽が素晴らしく合っているという話しもありました。
こういう感覚はダンサーだからこそ強く感じることができることなのかも知れません。
カジモドは常に片腕を上げてバランスを崩した態勢で踊るので、身体のメンテナンスも大変そう。
(もちろんこのバランスを崩す姿勢がカジモドの醜さや存在そのものをストレートに表現しているのですが。。)
ダンサーにとっては特別な経験となる作品なのかも知れませんね。
質問コーナーでは、お越しいただいたお客様から様々な質問を頂きました。
普段ダンサーから直接聞く機会がない「役作り」や「本番に向けた稽古の過程」などを知ることができたのではないでしょうか。
牧阿佐美バレヱ団3月公演「ノートルダム・ド・パリ」まであと1ヶ月少し。
本番はどのような舞台になるのか?
楽しみにお待ちいただければと思います。
牧阿佐美バレヱ団公式Instagramではリハーサルの様子なども配信しています。
是非フォローしてみてくださいね。
https://www.instagram.com/asamimakiballettokyo/
【トークイベント出演】
モデレーター:東洋大学社会学部メディアコミュニケーション学科 教授 海野 敏
牧阿佐美バレヱ団 元吉 優哉 ※カジモド(両日)
牧阿佐美バレヱ団 水井 駿介 ※3/15フロロ