牧阿佐美バレヱ団のダンサーも多く輩出してきた伝統あるバレエ学校、橘バレヱ学校。
その創立70周年にあたる記念公演に牧阿佐美バレヱ団が出演します。演目は、橘秋子作品「角兵衛獅子」(抜粋)。
「角兵衛獅子」は今から57年前、1963年11月、牧阿佐美バレヱ団第9回定期公演・第18回文部省芸術祭参加特別公演(サンケイホール)で初演されて以来、翌1964年10月、1964年オリンピック東京大会組織委員会協賛芸術展示 牧阿佐美バレヱ団特別公演(サンケイホール)で上演されて以降何度か上演されていますが、1978年7月の第1回海外公演(ロンドン・ウィンブルドン劇場、ミラノ、ローマ、ニース、テル・アビブ他 20市41公演)で上演されたのを最後に、牧阿佐美バレヱ団としての上演はありませんでした。
今回橘バレヱ学校創立70周年公演にあたり、橘バレヱ学を設立した橘秋子先生の作品を上演したい、ということから上演が決まりました。
なんと、42年ぶりの上演です。
和服を着たダンサーが踊る大変珍しい演目ですよ。
■角兵衛獅子の題材と舞台背景
角兵衛獅子は、新潟県新潟市南区(旧西蒲原郡月潟村)を発祥とする郷土芸能で、子供を中心として演じられた獅子舞の大道芸です。バレエ「角兵衛獅子」はこの郷土芸能を題材に橘秋子演出・振付で1963年に初演されました。橘秋子は「日本のバレエ」を意欲的に創作、日本古代における貴族世界を描く「飛鳥物語」に続き日本を舞台にした全幕バレエ2作目として制作されたのが本作「角兵衛獅子」です。
江戸末期、武家政治から町人社会へと変遷した時代、庶民に親しまれていた純情可憐な子供の旅芸人「角兵衛獅子」。角兵衛獅子は戦乱や病により親を亡くしたり、口減らしのため親方に預けられた子供たちでした。諸国巡りの際、関所で手形を役人に見せる必要はなく、角兵衛獅子の服装のまま通行が許されたほど愛されていたといいます。
一年中旅をしている子供たちが、年に一度だけ月潟村の地蔵祭りで帰省し獅子舞を競演します。この地蔵祭りは角兵衛獅子の子供たちのために行われ、晴れがましく着飾った子供たちの獅子舞は気迫に満ちたものだったといいます。
この盛大な祭りを聞きつけて、子供をさらわれたり里子に出したまま行方が分からなくなった気の毒な母親が母子対面の奇縁を願ってはるばる諸国から集まってきました。角兵衛獅子の子供たちも今年こそは実父母に巡り合えるのではないかと、はかない望みを抱き必ず地蔵祭りの日には月潟村へ帰って来るのでした。
作品で描かれるのは角兵衛獅子の姉妹の母への追慕、見知らぬ土地を旅する孤独、そこで出会った人たちとの友情。
どんなに不幸でも夢を捨てない子供の命が作者の郷愁をこめてうたわれています。
■物語
旅から旅へと渡り歩く角兵衛獅子の姉妹。旅先での困難を経て月潟村に向かいます。月潟村では例年の地蔵祭りが華やかに催されようとしています。親を知らない角兵衛獅子の子供たち。
ほどなく「顔しらべ」の儀が始まります。実母に巡り合えた母子が歓びに抱き合う光景も見られます。そしてこの祭りの最大の呼び物である獅子舞の競演が始まります。様々な踊りが絢爛(けんらん)と繰りひろげられます。
角兵衛獅子の姉妹は今年もとうとう実母に巡り会うことはかないません。全員が去った後、地蔵尊にぬかずく2人の背後には、旅すがら出会った鳥追い(芸人)の小母(おば)さんが立っていました。小母さんが去ったあと、2人の姉妹は突然走り出して地蔵尊に奉納されたさらしを手にとり、こみあげる父母への慕情を振り払うように激しくさらしを振りながら、暮れようとする境内で踊り狂うのでした。(初演プログラムより一部抜粋)
定期会員のためのバレエ雑誌「バレエフレンド」より、「角兵衛獅子」初演時の記事。
『牧阿佐美バレヱ団60年史』より
「角兵衛獅子」初演時のポスター
※『牧阿佐美バレヱ団60年史』については、牧阿佐美バレヱ団WEBサイトよりご覧ください。
橘バレヱ学校設立70周年記念 第68回橘バレヱ学校 学校公演 は以下の日程で開催予定です。
■開催:4月12日(日) 14時開演
■会場:文京シビックホール 大ホール
■制作
台本・原振付 橘 秋子
音楽 内山 正
芸術監督 牧 阿佐美
■出演
キャスト
姉 青山季可
妹 阿部裕恵
虚無僧 逸見智彦
他 牧阿佐美バレヱ団
■チケット料金(全席指定)
S席5,500円、A席4,500円(税込)
■チケットお問合せ
橘バレヱ学校事務局
Eメール:tachibana@maki-ballet.jp
以下必要事項をご記入いただき、メールでお問合せください。
・お名前
・ご希望席種・枚数
・ご連絡先(住所・電話番号)
■橘バレヱ学校 WEBサイト
http://tb-school.jp/paformance.html
※本公演の牧阿佐美バレヱ団での販売はございません。