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3月公演『プリンシパル・ガラ2021』で上演する演目は↓
端正な「パキータ」、
男性ダンサーによるダイナミックな踊りがみどころの「フォー・ボーイズ・ヴァリエーション」、
ドラマティックな「ル・コンバ」、
そして、全幕バレエさながらに華やか!流麗な「ライモンダ」と、"踊り"を存分に見て頂けるラインナップとなっています。
そもそも「ガラ」とはグラン・パ・ド・ドゥなど全幕バレエで最大の見せ場となる主役やソリストの踊りや小品など、バレエの見どころばかりを集めた公演のこと。バレエのお話しが分からなくても、踊りの見せ場ばかり次から次へと登場しますのでとにかく踊りを見て、バレエのエネルギーを感じていただけたらと思います。
さて、今回はそんな3月公演『プリンシパル・ガラ2021』より、「ル・コンバ」をご紹介します。
「ル・コンバ」(1995年「20世紀の振付家」より)撮影:山廣康夫
作品紹介 「ル・コンバ」
振付:ウィリアム・ダラー
音楽:ラファエロ・デ・バンフィールド
出演:
クロリンダ 佐藤 かんな(13日)、日髙 有梨(14日)
タンクレッド 石田 亮一(13日)、近藤 悠歩(14日)
十字軍の騎士 ラグワスレン・オトゴンニャム、米倉 大陽、小池 京介
*やむを得ない事情により出演者等が変更になる場合がございます。
全員が初役!という今回の上演。
それもそのはず、牧阿佐美バレヱ団の主催公演としては、1995年牧阿佐美バレヱ団7月公演「20世紀の振付家 チューダー/バランシン/ダラー」(ゆうぽうと簡易保険ホール)で「ル・コンバ」よりパ・ド・ドゥを上演して以来、なんと25年ぶりの上演となります。
※主催公演以外だと、2005年「アンヘル・コレーラ&ジリアン・マーフィーと牧阿佐美バレヱ団共演」、ニューイヤーガラで「ル・コンバ」よりパ・ド・ドゥを上演して以来16年ぶりとなる上演です。
作品紹介:
「ル・コンバ」は16世紀イタリアの詩人、タッソの叙事詩「イェルサレムの解放」に拠るバレエ。サラセン人の娘クロリンダと十字軍の戦士タンクレッドの悲恋を描いた作品です。「出会い」「再開」そして「果し合い」のすえ倒した相手が兜を脱ぐと、それは彼が愛した異教徒の娘であったという物語。
騎馬の足をダンサーの足で表現する独特な振付とドラマチックな物語で高い評価を得ながらも、近年は上演ラインナップから遠ざかっていた作品です。
1995年 牧阿佐美バレヱ団7月公演「20世紀の振付家 チューダー/バランシン/ダラー」(ゆうぽうと簡易保険ホール)
プログラム「音楽解説」(福田一雄)より
ル・コンバ
LE COMBAT(THE DUEL)
このバレエは、16世紀イタリアのルネッサンス詩人、タッソーが、十字軍を描いた有名な叙事詩「エルサレムの解放」から、その第3編、第12編に拠って作られた。
十字軍の騎士タンクレッドと、異教徒のサラセンの女騎士クロリンダとの悲しい恋を描いたもので、敵同士でありながら心をひかれてしまった二人が、兜のため互いにそれと知らずに決闘してしまうという、ドラマチックな内容を持っている。
振付のウイリアム・ダラーは、1907年生まれ。アメリカ人で最初の世界的舞踊家と云われた人で、フォーキンやモードキン等、ロシア帝国時代の名ダンサー達に学び、また、バランシンの薫陶を受け、ダンサーとして名作「セレナーデ」「コンチェルト・バロッコ」「四つの気質」等の初演に参加している。
「ル・コンバ」は、当初、ローラン・プティの主宰するバレエ・ド・パリのためにパ・ド・ドゥの形で作られ、後、ニューヨーク・シティ・バレエ団の為に、3人の騎士を加えて改定上演し、"The Duel"(決闘)と題して上演した。
ウィリアム・ダラーは他に、ショパンの音楽による「コンスタンチア」、ヴェルディの音楽による「椿姫」などがあり、この「ル・コンバ」を含むいずれもが、振付者ダラー自身によって、牧阿佐美バレヱ団にレパートリー化された。作曲者のラファエロ・デ・バンフィールドは、1922年ニューキャッスル生まれの裕福なイタリア貴族の家系を持つ人で、戦後の失意の中にあったヘルベルト・フォン・カラヤンをトリエステで庇護した人としても知られている。
「ル・コンバ」は牧阿佐美バレヱ団の記憶に残るダンサー達によって上演されてきました。
なんといっても初演の豊川美恵子さんをはじめ、大原永子さん、森下洋子さん。その後も魅力あふれる個性的なダンサーによって上演されたことを覚えている方もいらっしゃるかも知れません。草刈民代さん、田中祐子さん、酒井はなさんなどが踊っています。
ウィリアム・ダラー氏没後35年となる今年、分断ではなく多様性や異文化理解の重要性が増す今日においても、改めて見てみたい作品かも知れませんね。