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3度目の「ラフィユ」 <西山 珠里>

こんにちは。西山珠里です。

最近、干し梅と黒糖ときな粉にハマっています。"和"ですね。

「ラフィユ」の舞台はフランスなのでガレットとかキッシュとか食べた方がいいのかもしれません…。

 

私自身、アシュトン版『ラ・フィーユ・マル・ガルデ』への出演は今回で三度目になります。英国ロイヤルバレエ団と日本では牧阿佐美バレヱ団にしか上演権がないので、出演できること自体、私たちダンサーにとって本当に貴重なことです。

 

初めて出演した時は、冒頭のダンスが印象的なニワトリの役でした。つま先が特に重要となる踊りなので、足裏のトレーニングを毎日たくさんしたことを覚えています。リーズのお友達である8girlsのアンダースタディも兼ねていて、覚えることが沢山。足を痛めた先輩がいらしたので、代わりに出演するかもしれないという緊張で当日までドキドキしていたのも思い出です。

 

ニ度目は、12人の町娘たちでした。とにかくメイポールが大変!24人でリボンを編んでいくあのシーンは圧巻です。

 

三度目の今回は、主役のリーズを演じます。全幕で主演すること自体が初めてなので、他日主演の2人よりも経験が浅く、とにかく壁にぶつかってばかり。三歩進んで二歩下がる、といったような感覚です。進めていない時もあるかもしれませんが…。とにかく今出来ることを精一杯やって、作品の面白さをしっかり伝えたいです。

 

 

さて、関東も梅雨入りが宣言されました。

私は数ある花の中でも紫陽花が大好きなので、毎年この時期を楽しみにしています。

紫陽花、実はあの大きく開いている部分が花なのではなく、小さい蕾のようなものが本当の花なのですが、ご存知でしたでしょうか。

 

紫陽花の好きなところは、小さな花がたくさん集まって1つの花を成しているところ、そして土の酸度によって花の色が変わるという性質です。

個々が集まって形を作り、その置かれた環境に色を染める。

私たちが創る舞台芸術と親近感が湧くんです。

それぞれ輝いた各々が揃って1つの舞台を創り、作品のカラーに染まっていく。そうして一体感の生まれるあの空間は、何にも変え難い魅力があります。

 

そして花もバレエも、声を出す事はありません。言葉が無いからこそ、言葉以上の事が伝えられると思っています。

愛の強さ、財力の価値、親子愛の尊さ、素直な心の儚さ………。今週末の「ラフィユ」をご覧になって、皆様にどんなことを感じていただけるのか楽しみです。

 

 

最後になりましたが、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、罹患された方々にお見舞い申し上げますとともに、医療従事者の皆様のご尽力に心より感謝致します。

 

そして、懸念の多いご時世ですが、劇場へお越しいただけるお客様、本当にありがとうございます。

撮り直しや焼き増しのできる映像とは違い、舞台はその瞬間一度限りのもの。生の舞台のエネルギーを感じていただき、皆様の活力となれば幸いです。

 

劇場でお待ちしております。

 

 

西山珠里