こんにちは、阿部純花です。
二十四節気が処暑へと移り変わり、少しずつですが涼しく感じる日も増えてきました。
皆さまはいかがお過ごしでしょうか。
今夏は、先月行われた日生劇場ファミリーフェスティヴァル「白鳥の湖」と同時にA.M.ステューデンツ公演のリハーサルも行うという、朝から夜までお稽古の目めぐるしい毎日でした。
延期や中止にならず全ての公演を無事に開催することができて、心底ほっとしています。
上記にもありますが、今回は私が所属しているA.M.ステューデンツについて書かせていただきますね。
私が入会したのは9歳、ポワントを履いてまだ5ヶ月しか経っていない頃でした。
広いスタジオには生ピアノが置いてあり、辺りを見渡すとすらりとして綺麗なお顔の子ばかり。
当時の私はポワントには立ちきれないし、ピルエットは2回転できるかできないか、、
そんな卵の殻から顔も見えないような状態でしたが、"周りに比べて何も出来ない自分"に悲観することなく、むしろその状況を楽しみながら毎週日曜日スタジオまで通っていました。
レッスン中にピアニストさんと目が合うのも、先生に注意されるのも、広く自由に踊れる場所にいるというだけで、ただ幸せでした。
初めて公演に参加したのは、それから半年と少しが経過した頃です。
毎回欠かさず上演している「フィナーレ」は、生徒全員が赤いリボンとレオタードをつけて踊る、歴代のAM生が踊ってきた歴史ある作品。
お洒落で牧先生のセンスが光る、とても素敵な振付です。
初公演では、数十秒で終わる小さい子たちのパートでした。
しかしなんといっても、幕が上がって音楽が鳴り、ばっと客席に振り向く上級生の姿が本当に格好良くて、初めて合同リハーサルで見たときからずっと、"大きくなったら絶対に踊りたい"憧れのパートでした。
すぐに全パートの振付を覚え、休憩時間にお友だちと"フィナーレごっこ"をしたり、お家や学校でも暇さえあれば踊り続けていました。今思えば、まるで恋をしていたかのようです。
あれから何度か公演に参加していますが、踊りたかったパートができたこともあれば、「あぁ、あそこ踊りたかったなぁ」と今更ながら思い残すところもあります。
沢山のパートがありますから、AM生のうちに全てのシーンが踊れるということはまずないのですが、、。
しかし、子どもの小さな頭と大きな心までもを満たすことができるこの作品は、何度踊っても飽きることなく、音楽が鳴るたびに胸の高鳴りを忘れず、私自身に踊ることの楽しさを教えてくれます。
踊る楽しさを感じなくなったとき、踊ることの本質を忘れてしまったとき、私はこの作品を踊ることにしています。
そうすることで、あの頃の純粋な気持ちを取り戻すことができるような気がして、誰の為でもなく自分の為だけに、ただ踊ります。
長い歴史を刻んできたからこそ、今でもなお私たちの心を動かすのだと、錆びることなくこれからのA.M.ステューデンツを作っていくのだと、私は確信しています。
今までもこれからも、私だけでなくこの作品に携わっていく全ての人の心を動かし続けることでしょう。
私の、人生で授かる宝物のうちのひとつです。
おかげで今夏も幸せでした。
ありがとうございました。